TAAKK

実は、軽衣料のクリエイションこそ実力の差がはっきりでる。

春夏や秋のアイテム。これらは本当に難しい。

秋冬の重衣料の場合、高級な獣毛素材で仕立てればある程度の水準をクリアすることは容易い。その上オリジナルファブリックも比較的上質な生地を造りやすいと言える。


それに比べ軽衣料。
コレクションブランドの場合、これで仕立てれば鉄板という素材がない。
さらに、オリジナル生地のデザインは絶望的に難しく、上質な生地をつくるためには深い知識だけでなくセンスも必要になってくる。


秋冬そこそこ評価できても、春夏になると悲惨なブランドが多い理由のひとつ。



そこで頭がひとつ抜けたレベルの高いクリエイションをするデザイナーがいる。
TAAKK(ターク)の森川氏。日本が誇る3大レジェンドブランドのひとつ、イッセイミヤケでクリエイションをしていた経験を持つ。

森川氏の洋服は糸からデザインされて形になる。

PB260049PこちらはTAAKKのアンコンコート。
アンコンはunconstructed(無構築)の略で、ジャケットやコートに必要な要素である、肩パットや芯地、裏地などを省いた一枚仕立てのことを差す。

アンコン仕立てのメリットは一枚仕立てならではの通気性の良さと着心地の軽さ。
その反面、裏地がないため、内部の摩擦(生地すべり)については目をつぶられてきた。


しかし、森川氏が造ったのは「表側にフラノの上品な表情をもたせつつ、裏側はすべりの良い」というアンコン仕立てのコート。
一見なんてことないコートにみえるが、実はかなり異質。

このコート、見た目は上品で、尚かつ軽く、持ち運びできて、着心地が良く、サラリとした生地すべり、そのすべてを実現するために、糸からデザインしています。

生地は、表ウールと裏ポリエステルの2重織り。さらに表側のウールを起毛させ、熱プレスによりフラノに近い表情に仕上げた手の込んだ軽量素材。

PB260036P表側はジャケットやコートに通用する、フラノのように毛羽立った上品な仕上がり。


しかし裏側は、
PB260042Pテリッと光沢したポリエステルの表情。


この表裏全く違う表情の一枚生地により、アンコン仕立てをさらに上のステージに引き上げた。

フラノの上品な見え方と、裏側のすべりの良さはもちろん、
ほどよいハリ感を持ち、シワを一瞬で伸ばせる形状安定機能も備え、軽い着心地だけでなく、トラベルにも使えるコートに昇華させている。

森川氏の凄いところは生地をデザインするだけでない。
糸の段階からコンセプトをもち、完成図を描かないと、生地とパターン、デザインをこれほど見事に当てはめることはできない。

カシッとした適度なハリにより、襟は美しくロール。
PB260030P

袖山には繊細なギャザーを寄せ、上品な雰囲気に。
PB260031P

縁は美しいブルーのパイピング。
PB260043P

一枚生地にしか魅せれないフラットな仕上がり。美しく縫製された曲線が目を惹きます。
PB260037P

そして質感の良い本水牛ボタン。軽い質感のコートの細部に厚みをもたせ、特別なプロダクトとして魅せています。
PB260044P

縫製仕様も美しく、世界基準のモードで通用する糸の落し込み方。

今後さらに評価されるデザイナーのひとり。



Sache 上原