山本広巳

少しずつ理想に近づいている気がします。

その理想のひとつである、最高のクリエーションだけを提案すること。

言葉にすると簡単なようで、これほど困難なことはありません。

洋服をメインに、世界最高峰のクリエーションのみが厳選される。

いつかそんなブティックを見てみたいですね。


先日、急須職人 山本広巳氏にお会いしてきました。

ご自宅の展示を兼ねた部屋にお招きいただき、4時間も話し込んでしまった。

途方もない時間をかけて創られる山本氏の急須。山本氏を最後に、最高の急須は途絶えます。

いや、実はもう途絶えてしまった。
山本氏はもう75歳になる。50年余り急須を追求し、数年前に技術や感性の衰えを感じ制作を終了。もう新しい急須が生まれることがなくなった。

P4230019W

この愛らしいフォルムは山本氏の急須に共通している。いつぞやに完璧な形「丸」を求めたことがあり、その美しさへの探求が、どんな形の急須にもいきづいている。

そしてこの小さな注ぎ口は通常の製法では創ることができない。
その秘密となる内側にはめ込まれた美しい茶こしは「山本茶こし」と呼ばれ、後にも先にもこれを創れるひとは現れないと言われる。

表面には精巧な世界地図が彫られており、これを彫るのには3日以上かかるよう。裏返すと底にも南極が彫られている。

土を採取から始まり、薪を自ら割って造り、自作した窯で焼き上げる。
その工程のひとつひとつの技術やこだわりがとんでもなく深く、とても書ききれない。急須の質感であったり細部の深みからすべてが常軌を逸していることがわかる。



色々とお話させていただき、その場で希少なコレクションを買い付けさせてもらいました。

山本広巳氏の急須は美術館に寄与されるようなクリエーションですが、サシェに並びます。

それでは。


Sache 上原